1.サイトの狙い
「カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク(CUDN)」は「超党派の国会議員・地方議員」「NPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構」「学生」などで構成されています。CUDNでは2017年度の全国消防の「消防採用時における色覚検査の実施状況」を調査のうえ、その結果を公開しています。現在、34都道府県506消防本部の調査結果を公表しています。
本ホームページは、下記3点を目的としています。
(1)色弱(眼科学会では色覚異常)(※1)がある消防職への就職希望者にとって、受験先を選ぶ際の参考資料として活用してもらうこと(※2)、を目的としています。
(2)消防採用時に色覚検査を実施している消防本部の割合や、就職規制している理由を分析し、その結果を公表することで、全国の消防採用時における色覚検査の在り方の議論の一助にして頂くこと、を目的としています。
(3)国が色覚を理由に特定の業種につけない現状を「精査・検証なく是認」していることを指摘するとともに、色覚を理由に就職規制している業種について精査・検証し「合理的な理由があり、カラーユニバーサルデザイン推進をはじめとした職場環境の整備・配慮で解決できない業種」を明確化することを、国に対して働きかけること、を目的としています。
(※1)色弱とは色の見え方の特性がその他大勢の人と異なるということをさします。日本では男性の約5%、女性の約0.2%、人数にすると全国に300万人以上いるとされています。
(※2)2018年度以降の色覚検査の実施状況は、各消防本部採用担当にお問合せください。
2.厚生労働省の通達について
「色弱者(眼科学会では色覚異常者)」の就職に関する制限については、平成13年に厚生労働省が労働安全衛生規則を一部改正して(添付①)、雇入時健康診断における色覚検査を廃止し、就職に際して根拠のない制限を行わないよう通達がなされました。この改正により色弱者の就職に際しての制限は大幅に緩和されましたが、完全に撤廃されたわけではなく、現在も採用制限が一部の職業にあります。なぜなら、この改正には注意書きとして、「各事業所が必要性に基づいて自主的に色覚検査を実施することを禁止するわけではない」と記載されているためです。
3.調査結果(現在、34都道府県調査済)
「超党派議員」「NPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構」「学生」で構成する「カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク」は、34都道府県内の消防本部に対して消防職員採用時における色覚検査の実施状況調査を実施し、回答を集め、その結果を取りまとめました。
2017年度における消防職員採用時において「色覚が採用に影響されない」と回答した消防本部は50.0%にのぼることが明らかになりました。内訳として「消防採用時に色覚検査を実施していない」が39.9%であり、「消防職員採用時において色覚検査を求めているが検査結果が採用に影響しない」が10.1%でした。
4.消防職員採用時において色覚検査を実施する合理性が疑われる等の結果が明らかに
消防職員採用時において「色覚が採用に影響されない」と回答した消防本部が半数を占め、且つその理由について「色弱があっても消防業務に支障がない」と回答しています。また「色覚が採用に影響する」と答えた理由を「カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク」で分析したところ「合理的であるかは疑わしく、カラーユニバーサルデザイン推進をはじめとした職場環境整備・配慮で解決できる可能性が高い」ことが明らかになりました。
「カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク」では、消防職員採用時における色覚検査の必要性の有無について、全国的な議論を巻き起こす一助となるべく、すべての都道府県へ活動を拡げると同時に、平成26年3月14日参議院予算委員会における厚生労働副大臣の国会答弁(※3)を参考にしながら、それぞれの議会において「消防採用時における色覚検査の在り方」について問題提起の質問を行います。加えて、国に対して消防職員採用時における色覚検査の必要性の有無について見解を伺う質問主意書を提出致します。
(※3) 平成26年3月14日参議院予算委員会において、有村治子 参議院議員の質問に対し、佐藤茂樹 厚生労働副大臣が採用時における色覚検査の在り方について①色覚を理由に一方的に採用を制限することは望ましくない ②色を見分ける仕事の場合、その具体的な業務内容の詳細を求人票に記述すべきである ③色覚検査を事業主が実施する場合には、本当に色覚検査が必要なのか事業主に説明責任が生じる ④事業主の工夫によって色覚異常の人も仕事できるように配慮することが望ましい といった旨の国会答弁を行っています。
5.国は色覚を理由に就職規制している業種について精査・検証し「合理的な理由があり、カラーユニバーサルデザイン推進をはじめとした職場環境の整備・配慮で解決できない業種」を明確化すべき
文部科学省は、小中学校における色覚検査を2003年から廃止してきましたが、「児童生徒等が自身の色覚の特性を知らないまま卒業を迎え、就職に当たって初めて色覚による就業規制に直面するという実態が報告されたことを理由」に、2014年度から学校保健安全法の施行規則を一部改正して、色覚検査を復活させました。しかしながら、今回の調査が「就職採用時に色覚検査を実施する業種側の合理性等が疑われる結果」になったことから、文科省は色覚を理由に特定の業種につけない現状を「精査・検証なく是認」していることが明らかになりました。国は色覚を理由に就職規制している業種について精査・検証し「合理的な理由があり、カラーユニバーサルデザイン推進をはじめとした職場環境の整備・配慮で解決できない業種」を明確化すべきです。
6.マニフェスト大賞受賞について
北川正恭 早稲田大学名誉教授が審査委員長を務める第12回マニフェスト大賞において「カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク」の消防採用時における色覚検査の実施状況調査の取り組みが、優秀政策提言賞を受賞致しました。マニフェスト大賞の受賞を契機に、社会に改めてこの問題が認知され、消防採用時に留まらず、色覚検査を求める様々な職種において、その合理性や必要性の検証を求める社会の声が更に高まることを期待し、私たちも継続して頑張りたいと決意を新たにしています。